コラム
第3回 OPSってなんだ?


データと共にプロ野球の四方山話をお届けする本コラムですが、今回より不定期で当S.D.Sでも活用する「セイバーメトリクス」で用いられる指標を紹介していこうと思います。プレーの結果に対する分析から算出される「セイバーメトリクス」指標値ですが、これ知ることでプロ野球観戦をより楽しむことができるのです。そして今回は、攻撃系の指標「OPS」をご紹介しようと思います。

■「OPS」の前に。そもそも「セイバーメトリクス」ってなんだ?

「OPS」(読み方:オプス、オーピーエス)とは、「セイバーメトリクス」という統計・分析により算出される指標値です。という事は、「セイバーメトリクス」が分かってないと“何のことやら?”という話になってしまいますね。既にご存知の方も多いと思うので、広く知れ渡るに至った歴史を交えながら簡単に「セイバーメトリクス」って何だ?を先ずはご紹介します。

・アメリカの野球統計の専門家ビル・ジェームズにより1970年代に提唱された、統計学的見地からの客観的分析に基づき選手の評価や戦略を考える手法。結構な昔から存在していたんです。

・打率、打点、本塁打、勝利数、防御率といった、運に左右されやすい旧来の指標値による選手評価やチーム編成に疑念を持ったことがきっかけとなり編み出された。

・名称の由来は、アメリカ野球学会の略称 SABR(Society for American Baseball Research)と測定基準(metrics)を組み合わせた造語。

・1997年にオークランド・アスレチックスのGMに就任したビリー・ビーンが、セイバーメトリクスを駆使した球団運営・チーム編成により、リーグ最低クラスの年俸総額でありながら毎年のようにプレーオフ進出を続けるチームを作り上げた。

・2003年にビリー・ビーンGMによる前述の取り組をまとめた書籍『マネー・ボール』が出版され、ビリー・ビーンのチームマネジメントが日米で話題となり、これに合わせて”セイバーメトリクス”が広く知れ渡ることになった。

・その後、多くのMLB球団が模倣・追従し、セイバーメトリクスを活用した球団運営・チーム編成方法がポピュラーなものとなっていった。

■日本のプロ野球での活用は?

 日本においても、「セイバーメトリクス」は徐々に認知度が高まり活用も進んできました。

・2006年:ヤクルトの監督に就任した古田敦也が前年にリーグ最高のチーム打率ながら最少得点に終わった打線を強化するため、出塁率と共にOPS重視を明言し実践を試みた。

・2008年オフ:米国球界経験者の西武ライオンズのG.G.佐藤は、OPSに応じた出来高払い契約を締結した。

・2009年:広島カープのブラウン監督が”OPS”を重視した打線を組むと公言し、実践した。

・番外(笑)2012年: 池井戸潤 著『ルーズヴェルトゲーム』において、主人公が属する青島製作所野球部の大道監督がセイバーメトリクス重視によるオーダー編成と采配で、チームを強化した。 


要するに、選手のプレー結果に対する分析手法であり評価方法なんですね。現在では更に発展を遂げ、“PITCHf/x”や“Statcast”といった映像情報も取り込む最新鋭の測定システムの活用と合わせて、更に高度な分析データの収集・分析・活用に向かっていますが、このあたりについては、また機会があった際に。

■しかし、、ファンにはあまり関係ないのでは?

プレー結果の評価や球団の運営に用いられる各種分析の数値ということは、プロ野球の観戦を楽しむファンは“あんまり関係ないじゃん” と思われるかもしれません。が、十分楽しめ、役に立てることができる数値なのです。今回はその辺りの観点でも交えて説明してまいります。

■得点機会を作る能力の高さを表す「OPS」

やっと本題です。。セイバーメトリクスにも数多くのある打者評価系の指標「OPS」を説明します。

「OPS」は、セイバーメトリクスの中では最も知られる指標の一つです。相手チームよりも得点を多く取ることを目的とする野球ゲームにおいて、TV・新聞等のメディアで紹介される打撃成績ランキングが常に打率順で掲載されていることに疑問が生じたことをきっかけに開発された指標で、打率をはじめとする旧来型の指標よりも得点との相関性が高いとされています。また、現在ではMLBの公式記録にも採用されています。
一言で言うと “得点機会を作る能力の高さ”を表す数値という感じでしょうか。

指標のベースとなる考え方は非常にシンプルです。
・得点機会は“出塁”することで作られる。
・“長打”が多いほど先の塁に進めるので得点機会が増加する。

算出式も非常にシンプルです。
・OPS = 出塁率 + 長打率

また、OPSの数値は7段階の格付けでも表現されています。

Rank 評 価 OPS値
A 素晴らしい
Excellent
.9000以上
B 非常に良い
Very Good
.8334 - .8999
C 良い
Good
.7667 - .8333
D
Average
.7000 - .7666
E 平均以下
Fair
.6334 - .6999
F 悪い
Poor
.5667 - .6333
G 非常に悪い
Very Poor
.5666以下

そして、MLBではこんな表現も使われています。
.800以上:一流、チームにおける主力クラスの打者
.900以上:オールスター級の優秀な打者
1.000以上:球界を代表する強打者

翻って日本のプロ野球ですが、12球団のOPS平均数値はほとんどの年が”D”の”平均”のに収まっています。(統一球問題があった2011~2012年は“E”でしたが。。)よって、MLBの格付け方法をそのまま当てはめても問題ないという感じです。
どうでしょう。「OPS」ご理解いただけましたでしょうか。

■プロ野球観戦における「OPS」の使い方

ここからは余談です。平均試合時間が3時間を超え、9イニングに渡り攻と守、静と動を繰り返えすプロ野球のゲームですが、観る側もメリハリをつけて観戦することが球場で楽しく過ごすコツだったりします。そんなメリハリ付けの判断に「OPS」を使うとより観戦を楽しめたりします。
「OPS」は正に試合を“動かす”能力の高さを表しているわけですから、観戦時に「OPS」値が高い打者が打席に入った際は “手に汗を握る場面”“ であり”括目すべき場面“ということになるわけです。つまり席を立ってはいけないタイミング「OPS」は教えてくれるのです。(笑)

■各チームの「OPS」トップ3と歴代シーズン記録

8月29日現在の各チームのOPSトップ3を挙げてみます。この選手達が今シーズンは一番チームの攻撃を“動かしている選手” 、“得点に貢献している選手”という見方ができます。皆さんが持っている今シーズンを通じたイメージとは合っていますでしょうか? 必ずしも各チームのいわゆるクリーンナップを担っている打者とは限らないことが見てとれますね。


セントラル・リーグ
                 
広島 巨人 DeNA
鈴木誠也.985 坂本勇人.987 筒香嘉智1.091
新井貴浩.873 ギャレット.858 梶谷隆幸.813
丸佳浩.866 村田修一.840 ロペス.785
エルドレッド .920 阿部慎之助 .873 宮﨑敏郎 .859
                 
阪神 ヤクルト 中日
福留孝介.861 山田哲人1.104 ビシエド.829
ゴメス.771 バレンティン.897 平田良介.788
鳥谷敬.690 川端慎吾.727 大島洋平.755
原口文仁 .843

パシフィック・リーグ
                 
ソフトバンク 日本ハム ロッテ
柳田悠岐.969 レアード.818 角中勝也.895
松田宣浩.777 西川遥輝.800 デスパイネ.864
中村晃.769 陽岱鋼.789 鈴木大地.789
大谷翔平 1.087
               
楽天 西武 オリックス
ウィーラー.844 秋山翔吾.850 T-岡田.844
銀次.711 メヒア.845 糸井嘉男.831
茂木栄五郎.702 浅村栄斗.841 西野真弘.686
※ 規定打席未満の参考値


合わせて、歴代のOPSシーズン記録も紹介します。今シーズン活躍をしているヤクルト山田選手、DeNA筒香選手、日本ハム大谷選手などの記録が過去の偉大な選手と比べてどうなのか?というのも確認してみると面白いですね。


歴代シーズン記録
順位選手名球団OPS記録年
1王貞治巨人1.2931974セ・リーグ記録
2バース阪神1.2581986
3王貞治巨人1.2551973
4落合博満ロッテ1.2441985パ・リーグ記録
5バレンティンヤクルト1.2342013
6落合博満ロッテ1.2321986
7カブレラ西武1.2232002
8王貞治巨人1.2111967
9王貞治巨人1.2101966
10王貞治巨人1.2041976


■球場で観戦している時にどうやって「OPS」なんて確認できるんだ?(おまけ)

MLBでは既に公式記録として採用されている「OPS」ですが、日本のプロ野球では公式には採用されていません。よって(?)球場の電光掲示板の選手紹介表示には「OPS」値は出てこないのが現状です。

しかし、あきらめる必要はありません!当S.D.Sの公式スマホアプリという強い味方があります(笑)。他球場を含めた試合状況の確認はもちろん、 各イニングの打席結果から「OPS」をはじめとするセイバーメトリクスの数値まで。野球観戦の強い味方になるアプリです。ぜひ一度、野球観戦のお供としてご活用下さい。Let‘s Download !!


2016.08.29
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