コラム
第2回 北海道日本ハムファイターズ、世紀の逆転劇なるか


地球の裏側ブラジル リオのオリンピック、甲子園の全国高校野球選手権大会と
熱い夏のスポーツイベント真っ盛りだが、暦の上では 立秋(今年は8月7日)を越えた。ここからはもう秋なのだ。

そして、春・夏・秋と駆ける日本のプロ野球では例年、残り試合が3分の1を切ったこの頃からペナントレースの
大詰め、序・破・急の”急”の物語が始まる。

セ・リーグの話題は前稿に譲り、今回は、”急”の秋物語を最も面白く盛り上げる役者として急浮上してきた北海道日本ハムファイターズを中心に、パ・リーグ首位争いの現在までを振り返りつつ、今後を展望してみようと思う。


■開幕から6月まで。 ~ 無双のソフトバンク ~

シーズン序盤を振り返ると、開幕前の下馬評通りソフトバンクが早々に頭一つ抜け出した存在として勝ち続けた。
無双という言葉がふさわしい状況であった。

正にこの記事にあるような状況だった。

因みにプロ野球史上最速のマジック点灯は、51年前の1965年シーズン、ソフトバンクホークスの前身
南海ホークスがM62を点灯させた7月6日である。つまり今年前半のソフトバンクは、プロ野球史上最速のマジッ
ク点灯を目前とするとろまで来ていたのだ。
そしてこちらが、上記の記事が書かれた6月30日時点のパ・リーグ順位表である。

2016年06月30日
順位 試合 勝率
1 ソフトバンク 72 48 19 5 .716 -
2 ロッテ 75 43 31 1 .581 8.5
3 日本ハム 73 41 31 1 .569 9.5
4 西武 74 32 40 2 .444 18.5
5 楽天 71 29 40 2 .420 20
6 オリックス 69 25 44 0 .362 24

シーズンの半分となる72試合を終えた段階で、貯金29、勝率はなんと.716、2位とのゲーム差も8.5
多くのプロ野球ファンは、ソフトバンクのあまりの強さにペナントレースへの関心を失いつつあった。
そしてこの時点で、このあとの日本ハムの歴史的な猛追を予想できる人は、誰もいなかったはずである。


■7月 ~ 日本ハム 怒涛の追い上げ ~

今振り返るとこの時もソフトバンクのマジック点灯を阻止したのは、日本ハムだった。
マジックナンバー点灯時期が話題になり始めたソフトバンクが、ホーム ヤフオクドームで迎える7月最初のカード
この相手が6月19日から勝ち続け、7連勝と今シーズン初の波に乗り始めていた日本ハムであった。

結果は、日本ハムがよもやの3連勝。ソフトバンクのマジック点灯を一気に遠のかせたのである。
これで勢いを増した日本ハムは更に勝ち続け、2007年の球団記録を更新する怒濤の15連勝を成し遂げた。

そして一旦連勝が途絶えた後も勢いは止まらず、7月の成績は
で終えた。圧巻の勝率であった。

因みにこの月、ソフトバンクも大きく失速する事はなく、22試合を勝率5割ちょうどで終え、6月までの貯金を保ったまま7月を終えた。

この猛追により、6月19日時点で最大11.5差あったソフトバンクとのゲーム差は瞬く間に縮まり、7月31日時点でついに、3ゲーム差まで詰め寄ったのであった。

2016年07月31日
順位 試合 勝率
1 ソフトバンク 94 59 30 5 .663 -
2 日本ハム 94 58 35 1 .624 3
3 ロッテ 96 52 43 1 .547 10
4 楽天 91 38 51 2 .427 21
5 西武 97 39 56 2 .411 23
6 オリックス 92 37 55 0 .402 23.5


■8・9月 ~ 天王山決戦 ~

昨シーズンの日本ハムは、残り51試合の93試合目、8月5日にソフトバンクとのゲーム差が10.5となり、
マジック38の点灯を許している。

今シーズンも残り50試合でスタートするこの8月、日本ハムが奇跡を起こすために最も重要となるのが
8試合を残す直接対決となる。ここからの直接対決は正に全てが天王山といって過言でない。既に終えた第1ラウンド
8月5日からの3連戦は、日本ハムが2勝1敗で終え、7月2日の直接対決時同様に再びソフトバンクのマジック点灯
を阻止し、世紀の大逆転劇に望みを残す事に成功している。

しかし、自力で相手に黒星をつけゲーム差を縮めることができる直接対決は残り5試合となった。
8月19日(金)~21日(日)札幌ドーム    <3連戦>
9月21日(水)、22日(木)ヤフオクドーム <2連戦>
残り試合は単に勝ち越すだけでなく、大きく勝ち越すことが求められることになるだろう。
特に8月最後の直接対決3連戦でゲーム差を一気に縮めることができれば、ペナントの行方はいよいよわからなくなってくる。


■日本ハムのミラクルに向けたキーマンは

日本ハム 奇跡の逆転Vに向けたキーマンを投打であげるならば、
投 手 : 大谷 翔平
打 者 : 大谷 翔平
という事になるのではないか。決してふざけている訳ではなく。(神様、仏様、稲尾様というような時代でもないが、、)

投手陣では、大谷と共に先発の柱として成長した有原航平や先発・中継ぎを問わず役割をこなす今季の新戦力
3年目の高梨裕稔とルーキーの加藤貴之といった面々もキーマンであろうが、やはり大谷翔平だろう。

ここまでの成績

記録もそうであるが、勝ち星の数では測ることができない、登板した試合を“支配する能力”を有しているのは
今、セ・パ両リーグを見渡しても大谷翔平だけではないだろうか。
右手指にできたマメの完治を待ち7月24日から現在まで、登板から遠ざかっているが、
いつ復帰できるのか? 復帰してすぐに故障前の姿を取り戻せるのか? 8月19日からのソフトバンク3連戦に間に合わせる事ができるのか? このあたりが大きなポイントとなりそうだ。

打者では、一時期の不調を脱し3年連続100打点に向け、8月8日現在 打点80で打点王争いトップを走る4番中田
翔や陽岱鋼、田中賢介、レアードといった中軸選手の変わらぬ活躍はミラクルに向け必須であるが、その活躍を引き出しているのが、これもやはり3番 大谷翔平ではないだろうか。

規定打席数は未達ながらも、ここまでの数字を確認すると “大谷に打席が回ればゲームが動く” と言える数字である。

本塁打率は、レアード(本塁打28)の13.71を上回り、山田哲人(ヤクルト、本塁打33 )の11.58とほぼ同じ。
OPSに至っては、筒香嘉智(DeNA)の1.129、山田哲人の1.115をも上回る数字だ。
圧倒的であり、今や日本ハム打線の“核”といえる存在となっている。


北海道と九州による本州を跨いだ熱く壮大な綱引きは、仲秋まで続きそうな気配である。
日本ハムのミラクルVはあるのか。

結果やいかに。
2016.08.15
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