コラム
様々なデータ・数字を交えながらプロ野球の四方山話をしていこう。そんなコラムを始めることになりました。
題して「日々是球日」。新たなプロ野球の楽しみ方発見の一助となれば幸いです。隔週でのお届けを目指してまいります。


第一回「広島カープ 25年ぶりのリーグ優勝は現実となるか」


■コペルニクスとコロンブス

去る7月3日のこと。
日本ハム大谷翔平投手が、ソフトバンク14回戦で常識破りの1番・投手で出場。
そして、プロ野球史上初となる投手の先頭打者アーチを放ち、
さらに投げては8回5安打10奪三振で無失点に抑え見事チームを勝利に導いた。

打って投げた大谷選手が凄いのは言うまでもないが、
人々が無思考に「常識」をなぞらえながら過ごしている現代において
多くの批判を受けながらも近代野球の“常識”から掛け離れた采配を振り、
そして結果も残した日本ハム栗山監督に敬服である。まさにコロンブスの卵である。

そして同月11日。
こちらは、高校野球 夏の甲子園大会 西東京予選1回戦 和光高校VS狛江高校の一戦において
「逆一本足打法 」の選手が登場したという話。
高校球児が目標とする真剣勝負の夏の本番舞台で「逆一本足打法」を披露し
第2打席に見事な中越え三塁打を放ったというのだ。(単なるパフォーマンスではなかった証)
衆目集まる大会で、ある意味特異な、常識を打ち破る打撃フォームを堂々と披露し、
そして結果を残したのは和光高校 室橋達人選手(2年生)。
この打撃フォーム、監督・コーチから授けられたものなのか、それとも自身で編み出したものなのかは分からぬが、、、
とにもかくにもコペルニクス的転回に感動してしまった。

野球を永く観ているが、まだまだマンガでも見ぬような驚きの采配や、驚嘆のプレーにめぐりあうことがある。
本当に奥深い。これだから野球は面白い。


■広島カープ 首位の要因は

閑話休題、
後半戦開始後も勢いが衰える気配を見せず、既に多くのメディアが25年ぶりのリーグ優勝に”当確”をつけはじめた
広島カープのここまでを好調要因をSDS的にデータ・数字の確認で振り返ってみよう。

強力打線がけん引した3月・4月
勝ちパターンを模索し、いま一つ安定しない投手陣(月間)を攻撃陣が強力にバックアップをした月であった。
開幕早々の4月に7連敗を喫した前年に比べると上々のスタートを切り、ジャイアンツに次ぐ2位で4月を終えた。
16勝12敗(貯金4) 勝率.571
打率 .283 本塁打30
防御率 3.69


この4月、核となったのはエルドレッドであった。
圧巻のOPS値である。(※OPSとは:こちらを参照)

首位に立つ5月
前月同様に攻撃陣がやや不安定な投手陣をバックアップし、何とか勝ち越すことで終えた。
チームの月間成績は、
13勝12敗1分(貯金1)勝率.520
打率 .260 本塁打25
防御率 3.56

開幕から通算は、
29勝24敗1分(貯金5)
混戦模様ながらも5月22日には首位に立ち、現在までその座をキープしている。 

大型連勝で独走をはじめた6月
攻撃陣をけん引してきたエルドレッドが6月15日西武戦の負傷交代をあとに欠場も
代わって一軍昇格したルナと、交流戦で優秀選手賞(日本生命賞)も受賞し大ブレイクを果たした鈴木誠也が中心に
なんとかその穴を埋めた。
月間成績は、
16勝6敗1分(貯金10)勝率.727
打率 .249 本塁打17
防御率 2.89

また、攻撃陣の勢いに陰りが見えてきた中で、野村祐輔を筆頭に投手陣が防御率2点台と良化。
投打が噛み合った結果、得意とするホームのマツダスタジアムでの連戦で勢いをつけ、32年ぶりとなる破竹の11連勝を達成。
大きく勝ち越すことに成功した。6月終了時点で
45勝30敗2分(貯金15)勝率 .600
となり、2位ジャイアンツとの差を一気に9ゲームと引き離した。

投打ともに好調を維持し、首位をの座をキープする7月
7月26日現在の月間成績は、
11勝6敗(貯金5)勝率.571
打率 .305 本塁打22
防御率 3.22


優勝のゴールに向け加速を始めたように見える。
7月のチームにおいて特筆すべき選手は、新井貴浩と野村祐輔であろう。

7月26日現在の新井貴浩の月間成績は、
驚愕のOPS値である。さらには、開幕から通算の得点圏打率.402 とし、チームを力強く牽引した。
不惑目前の39歳が、かつて43発で本塁打王を獲得し、最も輝いた2005年シーズンと変わらぬ働きを見せている。驚きである。

そしてもう一人。野村祐輔の月間成績は、
開幕からの通算成績は、
16試合 12勝2敗、防御率 1.16 QS率68.8%
ジョンソンと共に、先発投手の柱・エースとしてここまで申し分のない成績を残している。
投球回数99.2回(一試合平均6.2回)がやや物足りないが、新人王となった2012年の翌年からの低迷を脱し、
新井貴浩同様に輝きを取り戻しつつある。

開幕からの7月26日現在までのチーム通算成績は、
56勝36敗2分(貯金20)勝率.609
となり、2位ジャイアンツとのゲーム差9を前月から維持している。


熱い!広島カープファンの強力なあと押し

開幕前、エース前田健太のFAメジャー移籍で苦戦の2016年を想像した事など既に何処へやらだ。

4月26日 新井貴浩が達成した史上47人目の2,000本安打。
7月23日 黒田博樹が達成した日米通算200勝。
要所要所の試合で飛び出す田中、丸佳浩、菊池涼介、鈴木誠也といった成長著しい若手選手による、打ち上げ花火のように派手な決勝打。  

このような広島カープファンを明るく、熱くさせるニュースが今年は頻発している。その結果、
ホームマツダスタジアムの観客動員数は、黒田博樹の復帰などに沸き、球団創設以来初めて200万人の大台を突破した前年を
更に上回るペースとなっている。(1試合平均2万8844人。前年比0.7%増 )
そして、この熱狂的な広島カープファンの声援が大きな力となっている。証が
ホーム 34勝 13敗 1分 勝率 .723
ビジター 22勝 23敗 1分 勝率 .489
という非常に分かりやすい戦績だ。この広島カープファンの力も現在の順位に大きく関わっているといえるだろう。

過去10年のセ・リーグ優勝チームの平均勝率は .594。
仮に、残り50試合(内、ホーム30試合)を30勝20敗で終えれば、86勝に到達し勝率は .600となる。
つまり数字上では、ビジターゲームの取りこぼしを最小限に抑え、3勝2敗ペースでしのぎきれば優勝濃厚である。
ホームゲーム全勝を目指すのも一つの手かもしれない(笑)。

■2016年の結末は、、

野村謙二郎、江藤智、金本知憲、前田智徳、ロペス、緒方孝市が並ぶ、今考えても豪華な顔ぶれによりカープ史上最強といわれた打線で、
7月までに貯金20を超え、誰しもが優勝を確信したが、ジャイアンツの「メークミラクル」の前に屈し、優勝を逃した1996年の悪夢。。

広島カープファンにとって忘れられぬ悪夢を葬りさることができる日は、すぐそこまで来ている。

”赤ヘル”の始まり。名将 古葉竹識が監督に就任。悲願の初リーグ優勝を遂げた1975年
初の日本一の歓喜。故 山際淳司の傑作「江夏の21球」を生み出した1979年。
山本浩二が本塁打王、打点王の二冠とリーグMVPを獲得。初のリーグ連覇と2年連続の日本一を成し遂げた1980年
衣笠祥雄が打点王、リーグMVPを獲得。広島カープ黄金期といわれる中、3度目の日本一を成し遂げた1984年
黄金期の西武ライオンズを相手に、史上初の日本シリーズ第8戦までの死闘を演じながら惜敗。ミスター赤ヘル山本浩二も引退した1986年
4月に炎のストッパー津田恒実が戦線離脱・闘病生活入りするも、チーム一丸でリーグ優勝を果たした1991年
 ・
 ・
最後のリーグ優勝から25年の月日が流れた2016年。広島カープにとって、後にどのように語られる年となるのか。

プロ野球界全体のさらなる盛り上がり望む当SDSとしては、このまま一気の独走優勝もいいが、
コロンブスとコペルニクスが一緒にひっくり返るような、広島カープファンを更なる感動の渦に巻き込むような、
ハラハラ交じりの劇的・感動的な展開も見てみたい気はするが、、、

結末やいかに。

2016.08.01
to landing site